カテゴリー
アーカイブ
特集
靴のうた | 2018.06.21

靴のうた -第2回- こいびとが踏んだクローバー


 
靴にまつわる短歌と小さなエッセイをご紹介する、「靴のうた」。
今回は、どんな風景が広がるのでしょう?
どうぞお楽しみください。

 


 
 こいびとも私もまだ若く、二人でいられれば、それだけで胸がいっぱい。今はそれで充分。どうして大人は「将来」とか「今後」とか、うるさく言うのでしょう。ふと、こいびとが、群生しているクローバーを踏みつけました。その靴の周辺から、空をめざして数本のクローバーが伸びています。つい私は「足をどけてよ」と言いました。こいびとが足を上げると、踏まれたクローバーが見えました。どうか、また元気になって、伸びていってほしい。私は「願う」ということを知りはじめたのです。

選歌・エッセイ 千葉 聡

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
○「靴のうた」プロローグ
○「靴のうた」第1回