靴にまつわる短歌と小さなエッセイをご紹介する、「靴のうた」。
今回は、どんな風景が広がるのでしょう?
どうぞお楽しみください。
こいびとも私もまだ若く、二人でいられれば、それだけで胸がいっぱい。今はそれで充分。どうして大人は「将来」とか「今後」とか、うるさく言うのでしょう。ふと、こいびとが、群生しているクローバーを踏みつけました。その靴の周辺から、空をめざして数本のクローバーが伸びています。つい私は「足をどけてよ」と言いました。こいびとが足を上げると、踏まれたクローバーが見えました。どうか、また元気になって、伸びていってほしい。私は「願う」ということを知りはじめたのです。
選歌・エッセイ 千葉 聡
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○「靴のうた」プロローグ
○「靴のうた」第1回