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靴のうた | 2019.01.10

靴のうた -第9回- 魚の学校 


靴にまつわる短歌と小さなエッセイをご紹介する、「靴のうた」。
そーっと、静かにのぞきたくなります。どうぞご覧ください。
 
 

さとき耳魚のもてるや砂利を踏む足音あおとにさつと遠ざかりゆく

小西久二郎『うみの哭く声』

 

 うおは良い耳を持っているのでしょうか。人が近づくと、さっと逃げるのですから。不思議なことに、足音をたてないように静かに歩いていても、魚は逃げていきます。きっと水底には、魚の学校があって「人の足音の聞き取り方」を教えているのでしょう。魚の学校の先生は、「最近は靴底の材質が改良されて、足音がたたないようになっていますから、みなさんはよりいっそう耳を鍛えるのですよ」と話しているのかもしれません。

 
選歌・エッセイ 千葉 聡

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