靴にまつわる短歌と小さなエッセイをご紹介する、「靴のうた」。
そーっと、静かにのぞきたくなります。どうぞご覧ください。
さとき耳魚のもてるや砂利を踏む足音にさつと遠ざかりゆく
小西久二郎『湖の哭く声』
魚は良い耳を持っているのでしょうか。人が近づくと、さっと逃げるのですから。不思議なことに、足音をたてないように静かに歩いていても、魚は逃げていきます。きっと水底には、魚の学校があって「人の足音の聞き取り方」を教えているのでしょう。魚の学校の先生は、「最近は靴底の材質が改良されて、足音がたたないようになっていますから、みなさんはよりいっそう耳を鍛えるのですよ」と話しているのかもしれません。
選歌・エッセイ 千葉 聡
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