靴にまつわる短歌と小さなエッセイをご紹介する、「靴のうた」。
はじまりの季節です。どうぞご覧ください。
靴紐を結ぶべく身を屈めれば全ての場所がスタートライン
山田航『さよならバグ・チルドレン』
せっかくいろいろな話ができるようになった3年生たちが卒業してしまいました。あんなににぎやかだった校舎は、すっかり静か。廊下の陽だまりで、乾ききった雑巾が寝ています。
今までずっと一緒にいたのに。今、みんなはどうしているんだろう。
思い出をあたため直していられる3月は、思ったよりはやく過ぎてしまうもの。きっとみんなは、4月からの生活に向けて新しい靴を買うために、街を歩いていることでしょう。
靴は「自分の最初」です。新しい場所へ行くとき、その場所に真っ先に触れるのは靴なのです。
これから始まる生活で、もし辛いことがあったとしても、きっと大丈夫。いちばん辛いときがスタート地点だと思えば、そのあとは良くなるばかり。
何かあったら、まず靴紐を結び直してみませんか。あなたは、クラウチングスタートの構えをとっているように見えますよ。
全国の卒業生のみなさん、ともに一歩ずつ歩いていきましょう。
選歌・エッセイ 千葉 聡
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