靴にまつわる短歌と小さなエッセイをご紹介する、「靴のうた」。
春、ピンクであふれています。どうぞご覧ください。
君を抱くティンカーベルになりたくてパールピンクのフラットシューズ
新しい学校、新しい職場。みなさん、いかがお過ごしですか。
少し昔の卒業生からメールをもらいました。
「潤いのなかった私の職場にも、この春、ようやくいいことが! 信じられないくらいのイケメンが入社してきました」
入社二年目を迎える彼女は、研修として三月から顔を出している新入社員くんに夢中のようです。
「よかったね。いい出会いになりますように」
昔の先生としては、いかにも先生らしい返事を送っておきました。二十代前半は出会いの時期。誰かを見てときめくのはすばらしいこと。彼女は自分の人生を楽しみ始めている。そして楽しいことがあると饒舌になるようで、彼女は連日メールをくれるのです。
「ちばさと先生、しかもそのイケメンは、大学在学中に留学をしていたせいで、私より一つ年上なんです。私より年上で、頭が良くて、しっかりしたイケメンが私の後輩になるなんて、もう信じられません!」
彼女の言う「年上の後輩」というのが、萌えポイントになるのかどうか、ちばさとにはわかりません。でも、人間関係はバランスの妙。面白い。
「来週、社用で、イケメンと一緒に出かけることになりました。おしゃれな彼に負けないように、私は新しい靴を買うつもりです」
服ではなく靴、というのがビジネスシーンですね。好きな人ができたら、自分を高めたい。そのためには、まず靴です。でも、昔の先生としては、お返事に、ちょっとお説教めいたことを書いておきました。
「自分の靴を買うのは大切です。でも、いつか、彼のために靴を買ってあげるくらいの先輩になってくださいね」
がんばれ、ティンカーベル!
選歌・エッセイ 千葉 聡
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